通知表を見て、「あれ、この単元わかっていないのかも」と気づく。夏休みの入り口は、そんな発見が起きやすい時期です。学校が進んでいる間は、立ち止まって前の学年に戻る時間はなかなか取れません。夏休みは、つまずいた場所まで“さかのぼって”戻れる、一年でほとんど唯一の期間です。ここでは、さかのぼり学習の進め方と、無理なく続けるための考え方を親目線でまとめます。
「今の学年の宿題」だけでは埋まらないことがある
算数のつまずきは、その学年で起きているとは限りません。5年生の割合がわからない背景に、4年生の小数や3年生のかけ算が残っていることもあります。今の学年のドリルを何度やっても手ごたえが出ないときは、問題が「今」ではなく「前」にある可能性を疑ってみてください。もちろん、原因はお子さんによって異なります。
ステップ1|どこでつまずいているかを見つける
最初にやることは、教材を買うことではありません。つまずきの場所を特定することです。おすすめは、前の学年のドリルや教科書の章末問題を、1ページずつ「解けるか」だけ確認していく方法です。ここで大事なのは、点数をつけないこと。「できた・あやしい・わからない」の三段階でざっと仕分けすれば十分です。
私自身、つい丸つけをして点数を出したくなるのですが、この作業の目的は評価ではなく地図づくりです。子どもに「テストされている」と感じさせた瞬間に、手が止まってしまいます。
ステップ2|戻る学年は「1つ前」から
いきなり2〜3学年戻すと、子どもの自尊心が傷つきやすくなります。まずは1つ前の学年から。そこで手が動くなら、つまずきはその範囲にあります。1つ前でも厳しそうなら、さらに1つ戻る。「戻る」ではなく「土台を確かめる」と言い換えてあげると、受け止め方がずいぶん変わるようです。
ステップ3|1日1単元より「1日10分」
さかのぼり学習でよくある失敗が、夏休みの前半に詰め込みすぎて燃え尽きることです。目安は1日10〜15分、1つの単元だけ。少なすぎるように見えますが、40日続けば相当な量になります。長い休みで効くのは、一日の量よりも続いた日数のほうだと言われます(個人差があります)。
学年別のさかのぼりポイント
・小1〜2/くり上がり・くり下がり、時計の読み。ここは急がず、具体物(おはじきなど)に戻るのが近道です。
・小3〜4/わり算、小数と分数の入り口。ここでのつまずきは高学年に必ず響きます。
・小5〜6/割合、速さ、単位量あたり。「文章題が解けない」の正体が、読解ではなく前の学年の計算にあることも少なくありません。
ステップ4|「できた」を目に見える形にする
さかのぼり学習は、前に進んでいる実感が持ちにくいのが弱点です。だからこそ、終わった単元をカレンダーやリストに書き出して、埋まっていく様子を見せてあげてください。「わからなかったことが減っている」という事実を、子ども自身が目で確認できることが、続ける力になります。
やらないほうがいいこと
ひとつは、親が横で解き方を全部説明してしまうこと。わかった気になるだけで、手が動くようにはなりません。もうひとつは、ほかの子や兄弟と比べること。さかのぼり学習は、他人ではなく過去の自分と比べる作業です。そして、夏休み中に全部を埋めようとしないこと。1学期分の穴が2つ塞がれば、それは十分な成果だと思います。
教材はどう選ぶ?
紙のドリルは、書いて手を動かせるのが利点です。一方で、学年をまたいで戻れるという点では、タブレット教材のほうが向いている場合もあります。学年に縛られず前の単元へ行き来できるタイプなら、「どこまで戻ればいいか」を教材側が判定してくれるものもあります。ご家庭の方針やお子さんの相性で選ぶのがよいと思います。それぞれの特徴は、下の比較記事にまとめています。
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「1日10分」を続ける教材としては、一回分が1ページで区切られたドリルが扱いやすいです。くもんの小学ドリルは学年と単元がこまかく分かれているので、つまずいた単元だけを選んで戻る、というさかのぼり学習の使い方に向いています。
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まとめ
さかのぼり学習は、後ろ向きな作業に見えて、実はいちばん前向きな選択です。土台が固まれば、2学期からの授業の聞こえ方が変わります。夏休みという40日は、そのためにあると考えてみてください。全部は埋まらなくて大丈夫です。ひとつ塞がれば、それだけで秋からがずいぶん楽になります。
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