金曜から熱が出て、月曜まで三日休みました。火曜に登校したら算数は先の単元に進んでいて、宿題のプリントだけが三日分たまっている。秋から冬にかけては、こういう週が一度は来ます。このときご家庭でいちばん起きやすいのが、たまった分を「全部」追いつかせようとして、復帰した週の後半に力尽きてしまうことです。この記事では、休んだあとの学習を〈学校から持ち帰るもの〉と〈家で足すもの〉の二つに分け、その二つをどう組み合わせて戻すかを、低・中・高学年べつに並べます。体調そのものの判断は学校と医療機関にゆだねる前提で、ここでは勉強の戻し方だけを扱います。
休んだ分を「全部」戻そうとすると、たいてい途中で止まります
休み明けの子どもは、体力がまだ戻りきっていません。そこへ学校の授業も同時に進んでいきますから、たまった分と今日の分を両方やると、負荷が二重になります。初日に長く机に向かわせると、翌朝の登校そのものがつらくなり、結果として休みが延びることもあります。
そもそも「戻す」とは、全部を取り返すことではありません。置いていかれた場所に印をつけて、あとから埋められる状態にしておくことです。印さえついていれば、週末や次の連休にまとめて埋められます。急ぐ必要があるのは期限のあるものだけで、それ以外は急いでも成果が変わりにくい、と考えておくと組み立てが楽になります。
戻すものを、先に二つへ分けます
休んだあとの学習がうまくいかない家庭は、量が多いのではなく、性質の違うものを一つの山にして扱っていることが多いように見えます。まず次の二つに分けてしまいます。
学校から持ち帰るもの=宿題のプリント、板書の写し、配布物。量が決まっていて、提出の期限があるのが特徴です。終わりが見えるので、先にこちらを片づけます。
家で足すもの=抜けた単元の練習。量が決まっておらず、やろうと思えば際限なく増やせるのが特徴です。だからこそ、時間のほうで上限を決めます。
この二つを併用するときのこつは、区切り方を変えることです。学校から持ち帰るものは「期限」で区切り、家で足すものは「時間」で区切ります。家で足す側は一日二十分を上限にして、終わらなくてもそこで閉じます。二十分という枠があると、親も「今日はもう少し」と言わずに済みます。
低・中・高学年べつ、戻す順番
同じ三日の欠席でも、先に戻すべきものは学年で変わります。低学年は毎日くり返す形のもの、中学年は新しい単元、高学年は期限のあるものが先、というのが大まかな目安です。
| 学年 | 先に戻すもの | あとでよいもの | 家で足す二十分の中身 |
|---|---|---|---|
| 低学年(一・二年) | 音読と、ひらがな・漢字の書き取り | 絵や工作、自由課題 | 毎日出る形の練習(たし算のくり上がり、かけ算の段など)を一枚だけ |
| 中学年(三・四年) | 算数の新しい単元(わり算や分数の入口) | 社会・理科のまとめプリント | 休んだ週の単元の、最初の例題とその次の一問 |
| 高学年(五・六年) | 提出の期限があるものと、算数 | 自主学習ノートのページ数合わせ | 単元の最初の例題をやり直して、どこで分からなくなったかを本人に言ってもらう |
低学年(一・二年生)は、毎日の形から戻します
低学年の学習は、内容そのものより「毎日同じことをする形」で支えられています。休むとこの形が切れるので、先に戻すのは音読や書き取りのような、短くて毎日出るものです。単元の抜けは、形が戻ってから追えば間に合うことが多い範囲です。親が黒板の内容を教え直す必要はありません。
中学年(三・四年生)は、新しい単元の入口だけを見ます
三年生のわり算、四年生の分数のように、この時期はその単元の最初でつまずくと、後の全部が分からなくなる型の内容が増えます。休んだ週にその入口が重なっていた場合だけは、早めに見ておきたいところです。見るのは最初の例題ひとつで十分です。そこが読めていれば、残りは授業で追いつけることがあります。
高学年(五・六年生)は、期限から逆算します
高学年は提出物の期限が重く、そこが崩れると本人の気持ちが先に折れます。まず期限のあるものを机に出し、日付の近い順に並べてしまいます。その上で、算数だけは単元の最初に戻ります。この学年になると「どこで分からなくなったか」を本人が言葉にできることが増えるので、親は探す人ではなく、聞く人に回るほうがうまくいきます。
復帰してからの三日間の組み方
登校を再開した日から三日を、次のように分けて考えます。
- 初日は「行って帰ってくる」までを仕事にします。家での学習は音読など軽いものだけにして、たまったプリントは出しません。初日に疲れを残さないことが、この週でいちばん効きます。
- 二日目に、たまったものを机に全部出して選びます。期限のあるものだけを手元に残し、残りは一度しまいます。捨てるのではなく、しまうのがこつです。親子で一緒に並べると、量が見えて本人も落ち着きます。
- 三日目から、家で足す二十分を始めます。始める場所は、休んだ週の単元の最初の一ページ。終わらなくても二十分で閉じて、続きは翌日の二十分に回します。
この三日で「全部」は終わりません。終わらせないための組み方なので、それで問題ありません。週末に、しまったほうの山から一枚だけ戻す日をつくると、少しずつ減っていきます。
家で足す側に置く道具は、二冊で足ります
休んだあとに教材を買い足す必要はほとんどありませんが、家に二冊だけあると、親が単元を探す手間が減ります。役割が違う二冊を組み合わせて使うのがこつで、片方だけだと途中で止まりやすくなります。
一冊目=学年を横断して「どこで止まっているか」を探す本
総復習タイプのドリルは、一年ぶんが薄く一冊に入っているので、休んだ範囲の前後を数ページ解くだけで、分からなくなっている場所の見当がつきます。全部やらせる本ではなく、場所を探すために使う本だと考えてください。シリーズに各学年の巻があるので、お子さんの学年のものを選びます。
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二冊目=抜けた単元だけを縦に埋める本
場所が分かったら、その単元だけを薄く積み直します。単元別のドリルは一回ぶんが短く区切られているので、二十分の枠にそのまま収まります。こちらも学年と教科の巻が分かれていますから、必要になった単元のものだけを一冊足せば十分です。
1年生かん字 (くもんの小学ドリル 国語 漢字 1)をAmazonで見る一回ぶんが短く区切られていて二十分の枠に収まります・価格と在庫は最新の表示をご確認ください
総復習で位置を探し、単元別で埋める。この二つは役割が逆なので、どちらか一冊だけだと「どこをやればいいか分からない」か「やる場所は分かるのに量が多すぎる」のどちらかで止まります。併用すると、休んだ週の穴が二十分ずつで埋まっていきます。
休みが重なる年は、教材の置き方をもう一段変える手もあります
秋から冬は、本人の体調だけでなく学級閉鎖やきょうだいからの感染で、年に何度も休みが出る年があります。そのたびに親が「今どの単元か」を調べて教材を探すのは、正直なところ続きません。
学校の進度に沿った教材が毎月家に届く形にしておくと、休んだときに探す工程そのものが消えます。届いた号のその単元を開けばよいだけになるからです。合うかどうかは学年と本人の相性によるので、いきなり始めるより、まず資料を取り寄せて中身の分量を実物で見てから決めるほうが失敗が少ないと思います。おためし教材で、お子さんが一人で読めるかどうかも確かめられます。
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復帰初日にやらないこと、三つ
一、休んだ分を一日で終わらせる計画を立てる。立てた時点で守れないので、守れなかった記憶だけが残ります。
二、友だちのノートを全部写させる。写す作業は時間のわりに残らず、初日の体力を使い切ってしまいます。必要なページだけにします。
三、「遅れている」という言葉を本人の前で使う。三日の欠席でついた差は、本人が思うほど大きくありません。言葉のほうが先に本人を止めてしまうことがあります。
休んだあとに必要なのは、取り返す速さではなく、戻る場所が分かっていることです。場所さえ分かっていれば、二十分ずつでも埋まります。もし復帰して二週間たっても特定の教科だけ戻らない様子があるときは、家で判断せず、個人面談や連絡帳で担任の先生に様子を聞いてみてください。


